パウル・バドゥラ=スコダ            2014年福岡でのピアノ・リサイタル

 

2014年5月28日(水)19時開演 アクロス福岡シンフォニーホール

とうとうこれで最後の来日公演、本当に残念なことですが、福岡での演奏を快諾して下さったスコダ氏、そして、ご尽力いただいた関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

新聞・音楽雑誌掲載記事

 

2012年11月愛知での演奏会では、そのお姿に、その音楽に、その演奏の気迫に涙が溢れ、休憩時に急いでロビーに行き、ホール関係者を摑まえて、「招聘元の担当者に会わせてほしい!」とお願いしてしまいました。

 

「なんとしてもまた福岡に来ていただきたい!この気持ちを伝えなければ!」

ただ、その想いだけでした。

 

そして、2014年5月、あのスコダ氏の演奏を、やっと福岡で聴くことができます。

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この人の演奏は別格です。存在そのものが神々しく。

 

たとえミスタッチがあったとしても、それをはるかに越える「音楽」があるのです。

 

ただ完璧に弾きこなす「テクニック重視」、派手で力任せの「パフォーマンス重視」の演奏をするような若者・中年ピアニストには、絶対にできない演奏です。

 

次元が違うピアニスト。

ただ弾いている姿を見るだけでも胸を熱くさせるピアニスト。

カラヤンやフルトヴェングラーらと同じ時代を生きたピアニスト。

そんなピアニストと今同じ時を生きている者として、86歳という高齢でありながら日本へ来られるこのピアニストの演奏を聴かずしてどうする?という気持ちでございます。

 

数年前、大阪まで日帰りでスコダ氏の演奏を聴きに行ったことがあります。

関西フィルとの共演、弾き振りでした。80歳を過ぎていました。

終演後、楽屋から出てこられるのを待っていました。

一言「また福岡にも来て下さい!」と言いたくて。

 

肌寒い風が吹く中、にこやかな笑みをたたえながら出てこられたスコダ氏に、「福岡から聴きに来ました!また福岡にも来て下さい!」と伝えると、「オー!フクオカ~!」と微笑みながら、私の頬を優しく両手で包んで下さった・・・ような、記憶があります。

 

もうすぐ、あのスコダ氏に会える、ベーゼンドルファーでの演奏を聴ける。

 

長い間待ちわびた夢のような時間ほどあっという間に過ぎていくことを、ミクローシュ・ペレーニチェロリサイタルの際に実感しました。

 

スコダ氏の演奏は、若い人達にこそ、ぜひ聴いていただきたい演奏です。

日本でのツァーでは、もう二度と演奏を聴けないのですから・・・。

 

2014年福岡でのピアノ・リサイタル

 

 

パウル・バドゥラ=スコダ(ピアノ)

PAUL BADURA-SKODA, Piano

パウル・バドゥラ=スコダ1927年にウィーンで生まれた。彼の類い稀な音楽的才能はすぐに頭角を現し、さらに伸びていった。戦時中のエドウィン・フィッシャー、ハンス・クナッパーツブッシュ、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーのコンサートでの忘れ得ぬ演奏が、バドゥラ=スコダの音楽家になろうという意志をさらに強めた。彼がその演奏で感銘を受けたのは、素晴らしい解釈もそうだが、それ以上に、その音楽の持つ倫理的な力の存在であり、それは今日でも彼が重要視している要素である。

1945年、バドゥラ=スコダはウィーン音楽学校に入学。その僅か2年後、オーストリア音楽コンクールで優勝し、注目を集めた。ルツェルンでのエドウィン・フィッシャーのマスタークラスの奨学金がその賞品であったが、これがバドゥラ=スコダの音楽家としての将来の基盤となった。

数年後、彼はフィッシャーのアシスタントとなり、フィッシャーの死後、ウィーンやザルツブルク、エディンバラ、シエナでマスタークラスの伝統を引き継いでいった。今日でも、彼は若い音楽家との身近な交流を保っている。主要なピアノ・コンクールの審査員を数多く務め、自分の貴重な時間と情熱を若い音楽家の育成に捧げ、熱心にアドヴァイスをしている。彼が音楽について、熱く、そして、あの柔らかいウィーン風の声で語るのを聞いたことがある人は、それを決して忘れることはないであろう。

1949年、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーとヘルベルト・フォン・カラヤンが、バドゥラ=スコダの並外れた才能に注目し、彼をコンサートに招くと、まさに一夜にして、この若いウィーン生まれのピアニストは世界的な大ピアニストとなった。ザルツブルク・フェスティバルに衝撃的なデビューを果たし、また、1953年のニューヨークでの初のコンサートは、たちまち、全席売切となった。それまでには前例のなかったことである。同じようなセンセーションが、数年後に東京でも起こった。彼のLPレコードは何年もの間、ピアニストとして発売枚数第1位を保持した。

それ以来、バドゥラ=スコダは主要な各音楽祭に定期的に出演するようになった。指揮者のヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヨーゼフ・クリップス、カール・ベーム、ハンス・クナッパーツブッシュ、ヘルマン・シェルヒェン、アルトゥール・ロジンスキー、ロリン・マゼール、ジョージ・セル、サー・チャールズ・マッケラス、サー・ゲオルグ・ショルティ、ヴァイオリニストのダヴィド・オイストラフなどとも共演した。

しかし、バドゥラ=スコダはその演奏を古典派のウィーンの作曲家だけに限定することなく、バロックから現代音楽まで幅広いレパートリーを持つ。実際、彼はレパートリーを狭く絞って、それだけを専門にやることには否定的で、彼は指揮や作曲、音楽学の分野の仕事もやり、また、音楽に関する本も書き、それを収集もしている。さらに、膨大な量の自筆譜や初版のマイクロフィルムに加え、歴史的な様々な鍵盤楽器のコレクションも所有している。1976年、オーストリア政府はパウル・バドゥラ=スコダに「オーストリア科学・芸術功労賞」を授与して称え、1978年には「ベーゼンドルファー・リング」が贈られた。これは、ヴィルヘルム・バックハウス以来である。

彼は数多くのコンサートのため、世界中の音楽的な主要都市(ウィーン、パリ、ローマ、マドリード、ミラノ、東京、プラハ、シカゴ、ニューヨーク、ブエノスアイレスなど)、また、ワルシャワのショパン・フェスティバル、ジョルジュ・エネスコ・フェスティバル、エストリル・フェスティバル、ドゥブロヴニク・フェスティバル、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン・フェスティバルなどの主要な音楽祭にも定期的に出演している。さらに、リーズ国際コンクール、ミラノのディノ・チアーニ・コンクール、ブリュッセルのエリザベート王妃国際コンクールなど、主要な国際コンクールの審査委員会のメンバーも務めている。

LPCDに、すでに膨大な録音を残しているにもかかわらず、彼はレコーディングを続け、最近では、GENUINレーベルより「シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番、3つのピアノ曲」をリリース。さらにモーツァルトの協奏曲の全曲録音も進行中であり、201310月には、自身の弾き振りでプラハ室内管弦楽団と共演した「モーツァルト:ピアノ協奏曲第15番、第20番」をTransart classicレーベルよりリリースした。 

ジェラルド・フィンジ作曲

「ピアノと弦楽のためのエクローグOp.10」

 

「エクローグ音楽事務所」の由来となった曲です。

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